泰永会は3歳より「書」一本で生きてきた野尻泰煌が19歳の時に設立した会。2011年で設立30年を過ぎる。
古典立脚でありながら、古典絶対主義とも異なり、師の手本に縛られることのない指導形態。
稽古は肩肘をはらず、気軽でいて、生徒の自意識なく上達させる独自の指導スタイル。
“書”の本質を学びつつ、自らの身体と心の成長を遂げることを旨とする。
欧米の洗礼を受けた日本の体質。本来あるべき伝統文化の確かさを失いつつある戦後七十年。時として騒ぎ立つ民族の体内に脈々と流れる血液、「和」の郷愁へと向かう現代日本の横顔、外国の先入主を漂わすモダニズムに摩り込まれた観念社会、「和風モダン」に価値を見出す存在がそれを裏付ける。
古来、他文化を消化する強い酵素を持つ我国、多年に渡る結果の咀嚼であるはずの豊穣な文化、されど憧れに満ちる蜃気楼を前にしてのセンスなき脆弱な国際性は否めない。
かつての隣邦文化が日本文化へ移行する種差の歴史観、装飾の排除に淘汰された他国とは異なる特性、漢字の草書体をさらに簡略化した仮名文字が日本を象徴する。建築・雅楽も同様、手数をかけず無駄な労力のない働きは、次第に簡素へ向かわせ表現の停止(ちょうじ)としてより調子の高い文化へと変貌を遂げてきた。温暖な気候と対峙する生活習慣に適う省エネ傾向の体質の上に存在する暗示の淘汰ともいえる。
実用と密接な関わりで結末を迎えた種の特質は、さらなる発想へと人類共通の普遍へ転じる。豊かな栄養バランスに到達した低カロリーの和食文化の見直し、我国の根本を支える疲弊なき種の理(ことわり)が世界の注視になる昨今。日本人のおのずと伴う審美生活と簡素な現れは我国固有の合理性、最短の働きで導き出される伝統を踏まえた全き総合力を内含する。
一方、上辺の価値基準では類似する欧米のイデオロギーで強化された発展結果である現代社会、思考で断片的に構築する種の生命線を断つ合理化、知らず抱えた不自然な時代習慣病の代償は決して小さくはない。和食から遊離した生活習慣病同様、生命は曇り冴を失う潤いのない社会事情を垣間見てもわかる。かくて「種」の燃焼なき憧れの面立ちで一色に染まる痩瘁(そうすい)した様子を背景に、作為の添加でない自国の豊富な語り口を足掛かりにしたい。
今や類的普遍思考やグローバリズムなどは色褪せたアナクロに映る。然りとて、日本一国主義でもなく、諸民族・諸地域の異なる文化や価値観の共存共栄を願い、ここにジャンルを越えた国際交流を持って、人間共通の理想に細やかな望みを託して。
野尻泰煌
【創設者】
野尻 泰煌
【役員一覧】
代表
・相模 泰生
副代表
・松里 鳳煌
・髙天 麗舟
会計主任
・廣大 抱懐
董事
・松里 寶山
・松里 翠甫
・近藤 翠苑
以上7名を運営委員とする。
顧問/国際交流展実行委員長
・横澤 悦孝
永久会員
・野尻 茹園
・森 寛翠
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